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難病と闘う女性「同じ境遇の人の支えに」 患者会設立へ活動 マッキューン・オルブライト症候群

更新日:2022年6月27日


有病率が10万〜100万人に1人とされ、骨や皮膚などに異変が起きる明確な治療法のない希少疾患「マッキューン・オルブライト症候群(MAS)」と闘う大阪市内の女性(26)が、患者会を立ち上げようと活動している。国内の患者は非常に少ない疾患。それだけに、「同じ境遇の人がいないと不安が募る。今後発症した人にとって、安心できる場所を作りたい」と意気込んでいる。


有病率が10万〜100万人に1人

 突然、額にたんこぶのようなものができたのは平成7年、5歳の夏だった。病院で「線維性骨異形成症」と診断を受けた。骨が変形したり、もろくなったりする原因不明の病気だ。

 顔面や頭部の骨が出っ張り、視神経が圧迫される恐れがある。歯茎の骨も出てくるため、定期的に骨を削る必要があり、24歳までに8回の手術を重ねてきた。骨折も数回しており、激しい運動は禁止されている。2年前には、成長ホルモンが過剰に分泌され、顔つきの変化や手足の肥大などが起こる「先端巨大症」の疑いがあると診断。昨年、原因となる脳下垂体の腫瘍摘出手術を受けた。


度重なる手術、発症

 ほかにも次々と新たな病気を発症し、「病気を治すのではなく、病気を見つけるために通院しているようなものだ」と悲観していた。昨年2月、MASと診断されて初めて、これまでさまざまな病気を発症した理由が分かった。

 「次はどういった病気が発症するのか。いつまで闘病生活が続くのか。どうしてほかの人と同じではないのか」

 不安が次から次へと押し寄せてきた。大学を卒業後、社会福祉士として働いてきたが、病気によって続けられないかもしれないという心配もある。

 何よりも心細かったのは同じ境遇の人がいないことだった。


「小さな輪を少しずつ広げて」

 国内ではほとんど患者が確認されていない病気で、医療関係者も「教科書でしか見たことがない」というほど。ほかの患者の治療法や闘病生活の様子を知ることもできなかった。

 「家族らとも違う、同じ病気を持つ人同士だからこそ分かち合えることがある」との思いが強くなり、患者会の結成を決意。難病患者らを支えるNPO法人「大阪難病連」(大阪市)の協力を得て、ホームページにMASの患者の情報を求める案内を出したほか、自身の思いなどをつづったブログやフェイスブックも始めた。こうした活動が実を結び、最近、東海地方に住む40代の女性患者と知り合うことができた。互いの生活や治療の状況などを話し合うと、相手の苦労が手に取るように分かり、安心感が生まれた。

「今は小さい輪だが、少しずつでも広げていきたい」。5人ほどが集まれば患者会を立ち上げ、仲間とともに、医療費助成などが受けられる厚生労働省の指定難病入りも目指していくつもりだ。

 「疾患の認知度が高まれば、早期発見や治療法の発展にもつながる。そうすれば、同じ悩みを抱える人を減らすことができる」


◇マッキューン・オルブライト症候群 遺伝子変異が原因で、主に0〜10歳の小児が発症する病気。出生後、早期に症状が出現することも多い。顔面や頭部などの骨が変形するなどする「線維性骨異形成症」や、皮膚に褐色の色素斑(はん)ができる「カフェオレ斑」、さまざまな内分泌症状などを併発する。それぞれ別個の病気と診断され、発症に気づかないことも多い。根本的な治療法はなく、各症状に対して治療するしかないのが現状だ。

2016/10/2 産経WEST




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